名をさずからない少年が
枇杷の木の下で佇む

青い廃墟
雨ばかりが声となり
一匙
冷たさをおびて
満ちた香りを
のみほす

硝子窓にうつる庭
誰にも知られず
白い年月を重ね
凍りついた

手をふれた先から
失われゆく
身を切るような
ひかりのなか
孵るものはなく
その果実に色はない

おしまいの場所で
つたう雨はやさしい
誰かを待ち続けて
眠れるのなら
他に何もいらなかった

鳥籠
うつろな瞼
水の音がする



'09 0705 : 地上楽園