水たまりに映る赤い花
一輪手折って
後ろ手にかくした

けれど
もうここには何もない
一日の終わりを告げられて
花びらはとろり
てのひらの中で溶けてしまった

涙を拭うゆびさきの
とうめいを染める夕日の色
これはたぶん
光と呼ぶにはあたたかすぎて
いまではもう名付けられない

呼吸を終える前の
さいごの空がほどかれる
ばいばい、
凄惨に沈み消える
僕らの一日をみつめて
それでも
うつくしいといって

さよならのそとがわに透ける
その先を待ちこがれた
見つけてしまわれないよう
いつもそっと
おもかげだけをたぐりよせていって

とめどなく放たれる
ことばじりをつなぐ
些細でもいい
理由を探していた

もともと何も持たない腕の中
とてもじょうずに
ほほえみをかわす
ひとつも器用にならないから




'09 0628 : 夕映え