かつて茨冠を飾り
摘まれることなく土に散った
美しき聖者の花を踏む

冬の海にかづき
翡翠の色に溶けた月の膜
一滴も残さず嚥下し
この地に夜を呼んだ

頌歌を口ずさみ
死すべき生者の群れを抜け
光の雨にはりつめてゆく
誰の鼓動をあびて
かの罪を覚えたのだったか

まるで美しきもののように
汀に憩う
水の影に繋がれた
銀のつむぎの韻律
白い砂の音をやどしつつ
ゆるやかに崩れ
そして再び聴こえくる
狂うことを知らない
時の遊聲を刻む

幻戯の王国
囀鳥のはばたきは高く昇り
西に死した青き地平に
遠く古の叫びを見た

滲んだ水月をなぞる
白き指に波は寄せ
沈み消えた光の端に
静かなことほぎは満ちる



'09 0411 : 青の碑文