オスマンサス・ブルース
花おわるまで堪えた
靴底から雨水しみとおった爪の羣青

噛みつくように
明日死ぬかもしれないと
刻み続けているつもりで
のうのうと暮らす
一夜に目をつぶり握りつぶした腑抜けの
とどのつまりの泣き言さえ
水路に投げ放した一輪が
行き着くまで行き着いた
そこに何も見えない

黒雲の隙間より昏れて
夕映を問うまで
何を聴くでもなく
生きづらさに頬よせたくちびるの
上澄みの橙

オスマンサス・ブルース
何も残せない
一夜で落ち尽くした花の屑の
腐臭さえ残らなくても
だれかが必ず
うしろかげを抱いて行ってくれる
その投げ放しを許している

オスマンサス・シガロス・ブルース
ここに何も残らない
踏みつけた路傍の先に
上澄みの金木犀
その甘さに聞き入っている



'13 1024 : オスマンサス・シガロス・ブルース