水面の中央
ひたと足首が切り落ちて
浮かんだ
プラスチックの波紋
かたっぽの青鞜だ

金具の名残
螺子の丸みにふれて
僕は空洞になる
くるぶしのゆるんだ足から
体液が漏れた

その滲み
絨毯に星が落ちてる
指差す少年
外気がたちまちに
僕の鏡像を立ち現わし
逆さまに吊られた自転車屋の逆光
その指もやはり
燭台をかざし
君のまびさしを測っているか

真っ二つに分かれた椅子の背
鋏の対称ほどには
不完全になれない

少年よ
指差したまたたきのさなか
その吸い込んだ呼気のさなか
体液は凝固し
僕さえ
思いもよらぬ
操ることもできぬ
美しい肢は生まれ
幻肢のための沓の踵
絨毯の金平糖を踏んづけた



'12 0927 : されど遊星  -塚本邦雄第十歌集-