ひたるスープの中に
昼が澄みゆく
球根を埋める

この水槽の枠線に
銀色を選んだから
まっくらな中身が
まさに透明になる

くらがりのきもちよさに落ちた瞼を
撫でるように
放心をさそう線をしている

跳ねあげた一尾が
ながく不態を泳がせて
ゼリーの散った日向に
水という水の
ざらざらを手でさぐり
剥いた鱗にかすれて
すこし指を灼いた

車まわしと枯山水は
行き着きたいような
行き着いてはいけないような
ためらいの建築をしている

水掻きをあけひろげて
行き会っては
避けるための
ひとというひとの輪郭が
あらわれて消える

石群れの
ゆるいゆるい坂をくだるとき
髪をひくなめらかな湿気は
ドレスのベールボーイを引き連れて
この至福のときだけ
僕を水の中に棲むいきものにしてくれる



'17 0604 : 6月に棲む